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ビジネスは「あきらめない人」が最後は勝つ――孫子の兵法は説く

コラム
02 /26 2021
「孫子の兵法」は、欧米のビジネス・スクールでも「戦略書の原典・原点」として取り上げられる、ビジネスパーソン必読の実益書だ。東洋思想研究者・田口佳史氏の著書『超訳 孫子の兵法 「最後に勝つ人」の絶対ルール』からの抜粋で、現代のビジネスシーンに当てはめ孫子の教えを超訳した、「ビジネスで勝つ」テクニックをお届けする。

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● 戦い方の「バリエーション」を増やせ

凡(およ)そ戦いは正を以て合い、奇を以て勝つ。
正攻法だけでは、物事はうまく運ばない。状況をよく観察し、それに応じて柔軟に判断・行動することが必要だ。そのためには、多彩な能力を持ち、それらを自在に組み合わせて発揮する準備をしておくことが求められる。
 相撲の取り組みを見ていると、最初は正面から立ち合って、次の瞬間から互いに次々と正攻法と奇策を繰り出していきます。力士たちはあんなに短い時間のなかで瞬間、瞬間、相手と状況を観察し、それに応じてどう攻めるかを判断しているのです。

 勝敗の決め手となるのは、判断力もさることながら、それ以前の問題として、自在に組み合わせて発揮できる技をどれだけ多く持っているか。ビジネスマンも強い力士のようでなくてはいけません。

 軸となる能力は3つとか5つくらいでいいけれど、それらを無限に組み合わせて使えるようにしておく必要があるのです。一言で言えば、どんな場面にも柔軟に対応できるだけの行動のバリエーションを持つ、ということです。

 孫子はこのバリエーションについて、声・色・味にたとえてこう言っています。

 音声を構成する要素は、宮・商・角・徴・羽の五音階に過ぎないけれど、これらを組み合わせたメロディは変幻自在じゃないか。

 色彩を構成する要素は、青・赤・白・黒・黄の五原色に過ぎないけれど、これらを組み合わせた色は無限にあるじゃないか。

 味を構成する要素は、酸っぱい・辛い・塩辛い・甘い・苦いの五種類に過ぎないけれど、これらを組み合わせた味はすべてを味わえないほどたくさんあるじゃないか。

 ここから私たちが読み取るべきは、自分の持つ能力はそう多くはなくとも、それらを組み合わせれば力の発揮のしようはいくらでもある、ということです。

 例えばプロ野球のピッチャーでも、「真っ直ぐ(ストレート)とスライダーとフォークボールにカーブ」ぐらいしか球種を持たない人は多いのです。しかし緩急やボール一つの内側、外側を投げ分ける制球力とタイミングで勝星をあげているのです。私の場合も、ケーススタディと財務会計とリーダーシップの知識と中国古典ぐらいしか技の型を持ちませんが、そのとき最も的確な順番で語っていくことにより説得力が生じているのです。

 どんな状況にも対応できるよう、日ごろから自身の能力分析とバリエーション豊富な行動パターンを考え準備しておきましょう。

● 「あきらめない人」が最後には勝つ

奇正(きせい)の相生ずること、循環の端(はし)無きが如し。孰(たれ)か能く之を窮(きわ)めん。
多彩にして柔軟な対応力があれば、あの手この手とやりながら、際限なく行動し続けることが可能になる。結果、「あきらめないほうが勝ち」という状況になるのだ。
 「会社に入るときは、誰もが社長になろうと思っていたはずだ。ところがたいていの人は、思い通りにならないことがたくさんあって、いつの間にかあきらめてしまう。自分が社長になれたのは、あきらめなかっただけのことだ」

 経営者のなかには、こんなことを言う人が少なからずおられます。なるほど、言い得て妙。

 ただ、彼らは単にあきらめなかったわけではありません。どんな状況でも柔軟に対応し、終わりのない戦いをするように仕事をしてきた。それが「あきらめなかった」という言葉の本当の意味です。

 これは大事なことです。何につけ、あきらめない人が勝ち。「起上り小法師」のようなもので、何度倒されそうになってもすぐに起き直る。それができるだけの行動のバリエーションを持っているということなのです。

 思い出すのもイヤなのですが、私にもそんな「起上り小法師」のような人たちにしてやられた経験があります。

 それは、ある訴訟に巻き込まれたときのこと。示談にしようとなって、話し合って決着の文章をつくったのですが、向こうはなかなかウンと言わない。相手は香港の人たちで、その場では「いいね、それでいこう」と言うのに、いざ決着しそうになると「いや、まだ言いたいことがある」と、話をふりだしに戻すのです。

 都合、2年はやりとりを繰り返したでしょうか。とにかく彼らはしつこい。行くと歓待してくれるいい人たちなので、余計に始末におえない。攻撃のバリエーションの豊富さで終わりのないことといったら、まるでメビウスの輪のようでした。

 最終的に私は、「もういいよ、あなたたちの好きにしてくれ。私の負けにして欲しい」となってしまったのでした。

 これを一つ、みなさんの教訓にしてください。あきらめないほうが勝ちなのだと。
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タマ

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